飯村隆彦の最新版の「間」映画上映

2012年5月30日

ニューヨークと東京を往復しながら活動するコンセプチャルな実験映画作家、飯村隆彦の最新バージョンの「間」映画がイーストビレッジのミレニアム劇場で5月25日(金)8時から上映されます。 日本語の「間」をテーマに、曖昧なこのコンセプトをイメージで表現する実験です。最初の「間」の映画を作ったのが1977<年で、実に35年ぶりの新作を含めての上映です。最初に制作した映画はまったくの抽象映画で「間」のコンセプトを現したものですが、その後、ニューヨークのメトロポリタン美術館の委嘱で、京都の竜安寺の石庭のアートフィルムを制作、ここでも「間」のコンセプトを適応して、「間:竜安寺石庭の時/空間」のタイトルで、テキストに建築家の磯崎新、音楽に小杉武久が加わって、ニューヨークのメトロポリタン美術館、パリのルーブル美術館などを始め、広く上映されました。
特に「間」という日本固有のコンセプトを、竜安寺の石庭を舞台に、移動撮影を多用して時間と空間の合一をはかる演出は,時間と空間を切り離せないと見る「間」のコンセプトのために考えたものでした。この映画のレビュウを書いたナディーン・コバートは「オリジナルであり、哲学的な課題を視覚的なものと合一している」と評しています。
今回のプログラムは「間:竜安寺石庭の時/空間」を最初に上映、続いてこの映画の制作過程を記録した「竜安寺での<間>の制作」、さらに「間:竜安寺石庭の時/空間」を素材にして、映像をモニター上に輪郭線を辿ることで、主客を逆転して対象となった石が動き出すアニメーション「間:石が動いた」。サイレントだったこの作品に今春、新鋭のピアニスト寒川晶子の音楽によるもので日本では三軒茶屋のKENで生演奏で初演、その作品のニューヨークでの初上映です。
また、さらに「間」についての最初の映画だった「間(インターバルス)」の続編が新しく制作され、直接フィルムに書き込まれたカラーインクによる「間」が出現、「シブイ」とされて来た間のコンセプトに文字どうり異色な世界が現れました。これらの「間」を巡る4編の映画は日本の伝統文化への飯村、磯崎、小杉の3人の前衛作家による挑戦と再発見を見いだせるばかりではなく、その後の飯村による更なる多様な展開を見ることができます。尚、上記の作品を含むDVD「MA/間:A Japanese Concept」も自主出版されています。
日時:2012年5月25日(金曜) 午後8時
場所:Millennium Film Theater (La Mama Theater地下)
66 East 4th Street, (bet. 2nd&3rd ave.) NYC, 10003
Subway: Astor Place & Bleeker St., both 6, Second Ave, F
tel. 212-673-0090
入場料:8ドル