それぞれの時代には、その文化や人々、社会が作り出す独自の空気がある。
ここに納められた正方形ポートレートは、ハレとケの間、日常に漂う一瞬を鋭く捉え、時代とともに移ろいゆきは失われていく人々の記憶を止める。
そこには、人にレンズを向けることが難しくなった現代において、日々失っていく社会の記憶が残されている。
切り取られた瞬間は、その時代の眼差しを鋭く射抜き、それを目にする人々へと語り継いでいく。

須田一政『風姿花伝』完全版

『風姿花伝』は、1975年から77年にかけて写真月刊誌『日本カメラ』で8回にわたり不定期連載されたシリーズで、78年出版の『風姿花伝』(朝日ソノラマ 刊行) はすでに絶版となっている。本作は、2012年出版の発表・未発表を含めた全138点の写真を掲載した『風姿花伝 完全版』(Akio Nagasawa Publishing 刊行) を電子書籍化したものである。 「風姿花伝」という題名は、室町時代に能楽を完成させた世阿弥の芸論の題名から引用されており、能楽のみならず、芸術・ 文化にわたり多大な影響を与えた本書を、須田は「写真のことについて書かれた懇切丁寧な理論書」と捉えていた。 掲載された写真は、6×6フィルムで撮影され、全国各地を旅しながら行く先々で目に止まった光景を捉えている。のちに、朝日ソノラマ編集者の長谷川明氏に「6×6というフィルムを使って写真の表現形態を確立した最初の人」と評され、その何気ない日常を非日常の世界へと転化させる写真は、後の日本写真界へ大きな影響を与えた。

須田一政 プロフィール

1940年東京都生まれ。62年に東京綜合写真専門学校を卒業。67年より寺山修司が主宰する演劇実験室「天井桟敷」の専属カメラマンとなる。71年よりフリーランスの写真家として活動を開始。76年、「風姿花伝」にて日本写真協会新人賞を受賞し、一躍注目を浴びる。 その後、83年、写真展『物草拾遺』等により日本写真協会年度賞受賞、85年、写真展「日常の断片」等により第1回東川賞国内作家賞を受賞。97年、写真集「人間の記憶」により第16回土門拳賞など受賞多数。 13年には東京都写真美術館にて大規模な回顧展「凪の片」が開催された。 現実と非現実の間に漂う一瞬を捉えたその作品は近年とみに海外での評価も高い。 近年の主な作品集『風姿花伝(完全版)』(12)、『私家版・無名の男女』(13)、『Early Works』(14)、『Childhood Days』(15)

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